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イラストの制作体制による違いとは?

「キャラクターだけじゃない、意外に幅広いイラスト制作業務の世界」では、イラスト制作業務にどのようなものがあるかご紹介しました。その際は、キャラクターやキービジュアル、コンセプトアート、背景、各種ロゴ等々、主に何を制作するかの違いでジャンルを分けてみましたが、今回は制作体制という切り口でご紹介したいと思います。


より高まってきたイラストの必要性


HIKEはゲームの関するイラストを中心に手掛けていますので、今回もゲームイラストを例にとって解説しましょう。
「イラストの制作体制といっても、要はイラストレーターに頼めばそれでOKじゃないの」と思われるかもしれません。しかし、1人で1枚描いて完了、というわけにはいかないのがゲームイラストの大変なところです。

ひとつのゲームのなかには多くのイラスト、たとえばキャラクター、背景、アイテムなどが必要になります。また、ゲーム内のイラストだけではなく、ポスターや雑誌広告などに使う宣伝用のイラストも必要となり、すべて合わせるとその点数は実に膨大です。

ここからはゲームによって異なりますが、それらのイラストをどう分担するのかというジャッジが必要になります。考え方はさまざまです。
「統一性を重視するために、すべて一人に任せる」
「何百人ものキャラクターが登場するので、バリエーションを出したいから、複数のイラストレータに任せる」
「メインのイラストレーターにキャラクターをデザインしてもらい、これに似せて描くよう複数のイラストレーターに依頼する」
「キャラクターは一人だが、背景やアイテムは複数で分担する」
「キャラクターはイラストレータに依頼するが、背景やアイテムは素材で間に合わせる」

最終的には予算やスケジュール、作品性で判断されますが、これが据え置き型ゲーム中心の時代でしたら、すべて一人に任せることも可能でした。そもそもゲーム内にそのまま使われる絵はほとんどなかったからです。必要なのはパッケージのイラスト、ドット絵や3Dにするための基本モデル、宣伝などに使われる絵であり、アイテムなどは文字や記号で十分という時代です。

しかし、今では据え置き型であってもゲーム内にイラストをそのまま使うことも増え、モバイルゲームに至ってはカードタイプのゲームが流行ったこともあり、何百という数が必要になります。しかもゲームはどんどんアップロードされ、そのたびに追加のイラストも必要になってきます。この二十年ほどの間に、イラストの比重、重要性は飛躍的に高まってきたのです。

イラスト制作会社の意義


こうして大量のイラストを生むために必要になってきたのが、イラスト制作会社の存在です。

その前提として、ゲームメーカーが社員としてイラストレーターを雇うことの難しさがあります。要因としてはいろいろありますが、まずは管理の難しさ。品質やスケジュール、勤怠管理まで含めると、クリエイティブな仕事を普通の会社員と同じような勤務体制で管理しにくいことがあります。

また、ゲームによって必要なイラストのテイストが変わるので、それに合うイラストレーターを毎回探す必要があるのもハードルを高くしています。しかもテイストが合わない社員のイラストレーターはその間、仕事がないというリスクも発生します。一人や二人ならともかく何十人という規模では、よほどの大企業でなければ対応は難しいといえるでしょう。

もうひとつ大きな要因として、そもそもイラストレーターが会社勤めを敬遠していることもあります。会社に所属することで、自分のペースで仕事ができない、そのメーカーの仕事しかできないというデメリットが発生するからです。会社に所属することで安定した収入を確保できるというメリットはありますが、全体としてはやはり少数派でしょう。

しかし、会社で雇用しなくても、イラストレーターと仕事ごとに契約すればいいだけではないかという疑問も生じます。確かにリスクは減りますが、こちらも社員か外注かという違いはあっても、管理するという点では同じで、手間はむしろ多くなります。打合せにはじまり、仕様の説明からギャランティやスケジュールの交渉、いざ制作がスタートすれば品質のチェック、納期のチェック……。外部のスタッフですから契約も欠かせません。

そういった状況があるため、ゲームメーカーがイラスト業務をアウトソーシングする形が定着し、イラスト制作を請けおう会社の需要が高まったわけです。

ひとつのメーカーでイラストレーターを抱えることは難しくても、それが複数のメーカーから多くのイラストを請け負う形であれば、効率をよくすることも可能ですし、リスクも軽減できます。何より専門企業ならではのノウハウや技術も蓄積されていきます。

イラスト制作体制について


というわけで冒頭に述べたイラストの制作体制に話が戻ります。イラスト制作を業務とする会社には、イラストレーターを社員として置く会社、あるいはフリーランスのイラストレーターとゲームメーカーを仲介する会社、さらにはその両方を併用する会社と、大きく3つに分けることができます。

しかし、実は重要なのは社員かフリーランスかではなく、どういう体制でイラストを作っているかなのです。

(1)個人作家による制作体制
まずは最初から仕上げまで一人で全行程を担当するシステムです。イラストレーターの個性を活かし、より作家性が発揮できるスタイルといえるでしょう。

もちろんメーカーの要望もさまざまですから、イラスト制作会社はその希望に沿えるよう、多くのイラストレーターとコネクションをもち、幅広い絵柄に対応できるようにしています。イラストレーターも腕一本で食べていける人がほとんどなので、クオリティも高いのですが、量産はやや苦手です。

ちなみに当社も以前はこのスタイルが主流で、これまでに多くのイラストレーターをアサインしてきた実績があります。

(2)チームで分業する制作体制
もうひとつはチームによる分業の制作体制です。ラフから線画、着彩、仕上まで、それぞれを得意分野とするエキスパートに分担。品質の安定性にすぐれ、いわゆる「絵似せ」、アニメIPタイトルなど、似せて描かなければならない案件に向いています。量産にも対応しやすく、各工程単位での受注も可能になります。それこそアニメ制作を想像してもらえるとわかりやすいでしょう。

このスタイルはフリーランスのイラストレーターによって構築することもできますが、分業という性質上、各担当のコミュニケーションが問われますから、所属するスタッフで構成すると効率はよくなります。

Trigono(トリゴノ)のご紹介


ちなみにHIKEの前身であるキュービストは、数年前まで分業体制を社内でもっていませんでした。しかし、今では分業体制に完全対応できるようになりました。

2023年2月にはグラフィックブランド「Trigono」を設立。Trigonoは内部クリエイターの高い技術力と、「IP理解力×外部の著名イラストレーター×AI」などの最新テックを掛け合わせることで、さまざまな形のグラフィックを制作。単にイラストを請負って制作するのではなく、デザイン提案やクオリティラインを考えていくところから伴走致します。2Dアニメーション・3Dも対応可能。国内外のディレクション、内製チームに加え、1万名以上の提携イラストレーターネットワークも有する国内最大級の制作体制を整えています。

Trigonoのホームページはこちら

おしまいに


いかがでしたでしょうか。イラスト制作という仕事が、これまでとはまた少し違った視点で見ることができたのではないでしょうか。

当社では個人作家と分業体制、どちらにも対応しています。それぞれのメリットを活かし、今まで以上に高品質のイラストを提供してまいります。
もしイラスト関係でお困りの際は、ぜひご連絡をお待ちしています。

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sales@hike.inc