RGBとCMYKの違い。 印刷でRGBカラーを再現するには?
DTPに関わる方、たとえばデザインや編集、印刷に関係する仕事をしている人であれば、RGBとCMYKの違いはもちろんご存知でしょう。そして同時に、両者の色味の違いに、日々、頭を悩まされているのではないでしょうか。
また、DTPに関わる方だけでなく、パソコン上で自分の作品を制作や加工するカメラマンやイラストレーターといった方々。いざ完成した自分の作品を印刷してみると、なぜか微妙に異なる色で出力され、不満に思うことがありませんか?
今回はそんなRGBとCMYKの違い、そしてDTPや画像に関わる人なら誰でも苦労している(はずの)、いかにRGBカラーを印刷で再現するか、というテーマに絞って紹介してみます。
RGBとCMYKの違いを知っておこう
まずはRGBとCMYKの違いについておさらいしておきましょう。色の表現法には「光の三原色」のRGBと、「色の三原色」に黒を加えたCMYKの2種類があります。
■RGB
RGBは「赤Red」、「緑Green」、「青Blue」という光の三原色で構成され、この3色を混ぜて色を表現します。色が混ざるほどに明るくなり、「加法混色」とも呼ばれます。主にテレビやパソコン、デジカメなど、PCモニターや液晶ディスプレイ上で表示されるものがRGBです。
■CMYK
一方のCMYKは、「シアンcyan」、「マゼンタmagenta」、「イエロー yellow」という色の三原色に「黒 Key plate」を加えて構成されています。色が混ぜ合わせるほどに暗く濁っていく「減法混色」と呼ばれます。
早い話がインキによって印刷されるものはすべてCMYKカラーです。ただ、理論上はCMYの3色ですべての色は再現できるはずなのですが、実際に完全な黒を再現するのは難しく、「黒 Key plate」を加えてCMYKとなります。「4色」とか「フルカラー」というときには、通常このCMYKによる印刷をさしています。
■RGBとCMYKの違い
以上のようにどちらも色を表現する仕組みではあるのですが、その仕組みが異なるため、実は両者の色を完全に一致させることは簡単ではありません。なぜならRGBの各色はそれぞれに256段階があり、それを組み合わせて色を再現するのに対し、CMYKでは100段階しかないからです。割合でいうとCMYKはRGBの約65%しか再現できないと言われています。
会社や自宅のパソコンでデザインしたものをそのままプリンターで印刷すると、画面で見ていたときと色合いがかなり違って印刷されてしまうのは、すべてこのRGBとCMYKの違いによるものです。特に鮮やかな色、青色や緑色、オレンジ色などは再現しにくく、くすんだ色になりがちです。
IndesignやPhotoshopやIllustratorといったDTPや画像の専門ソフトともなると、印刷のためにRGBをCMYKに置き換える機能もありますし、試行錯誤を繰り返してある程度までは似た色合いにすることはできますが、それでも色の再現度が違う以上、どうしても限界はあるということです。
RGBカラーを印刷で再現するには
上でRGBとCMYKの違いを説明しましたが、これはDTP初期の頃から、長年抱えている課題です。今では多くの印刷業者さんにより、RGBカラーの発色を印刷で再現する方法がいろいろと考案されています。
HIKEでも利用した経験をもとに、以下ではその技術をいくつかご紹介しましょう。
■特色印刷
指定した色に合わせた「特色インキ」を使用する印刷のことです。金や銀、鮮やかなパステル色、あるいは蛍光色など、通常のCMYKによるフルカラーでは再現できない色味を表現するのに使います。
CMYKでの印刷は4色のインキを掛け合わせて使いますが、特色は1色なので濁りもなく、よりきれいに表現できるのもメリット。ただし、1色に1版が必要なため、色を多く使う場合にはコストが割高になってしまいます。
特色だけで用いる場合、CMYKにプラスして5色以上で用いる場合、印刷物に応じてどちらでも対応できますが、RGBカラーの再現という目的が大きい場合は、CMYK+蛍光色インキを使って5〜7色で鮮やかさを表現するのが一般的です。全面に使うと逆に不自然な色味になりますが、必要な個所だけ指定することで対応します。
■カレイド印刷
特色印刷でRGBカラーに対応しようとすると、どうしても5色、6色と必要になり、コストがかかってしまいます。そこで4色印刷のままRGBの広い色再現を可能にできないかということで開発されたのが、東洋インキ株式会社による「Kaleido®」インキ。それを用いた印刷をカレイド印刷といいます。
■ビビッドカラー印刷
少部数のPOD印刷などで主に使われる高彩度の特殊インキによる印刷です。RGBカラーのまま入稿できるので、モニター上で見たままを再現しやすいのが特徴ですが、逆にCMYKでデータを作成するとまったく効果が得られなくなるので注意が必要です。
■ヘキサクローム印刷
世界的に有名な色見本企業であるPANTONEが開発した6色印刷技術です。PANTONEの開発した専用インキ(CMYK+オレンジ+グリーン)を使うことによって、RGBカラーをおよそ85%まで再現可能にしており、非常に高い評価を得ています。
■ラスタシエ印刷
図書印刷株式会社独自の高演色・広色域印刷。高価な専用インキだけに頼らず、画像処理などさまざまな要素からトータルで開発された印刷技術です。
入稿時に注意したいこと
さて、これまでご紹介した以外にも、それぞれのインキメーカーや印刷会社では、さまざまなRGBカラーの再現技術があります。印刷物やデータの種類、さらには予算によって使い分けることが望ましいでしょう。
ただ、それでも100%完全に再現することは難しいことも頭に入れておいてください。印刷時の仕上がりが画面上と違うのは、RGBとCMYKの違いだけでなく、紙の種類や印刷機器の違いなども影響するからです。
それらを少しでも防ぐために、基本的なことも含めて、以下のことに注意しておきましょう。
■モニター自体の発色
古いモニターなどは経年劣化で発色が悪くなりますし、色味の調整(キャリブレーション)は定期的に行いましょう。
■カラーモードの確認
印刷を前提としたデータであれば、最初からCMYKカラーで制作しましょう。最後にカラーを変更すると色味の修正をする羽目になり、二度手間になってしまいます。
■色校正は必ず出す
同じ色でも印刷会社やインキの種類によって発色が違う場合がありますし、同じ印刷会社でも印刷機器が変わると色味に影響が出ます。また、紙の種類によって色や薄さ、光沢が違いますから、同じデータで出力しても当然仕上がりは変わります。
それらを防ぐには必ず色校正を出し、見た目で判断するのが一番です。ただし、色校正にも当然費用は発生しますから、本入校前にサンプルデータのみで色味をみるとか、サンプルは数パターン作ってみるとか、できるだけ本入稿後に手間とコストがかからないよう気をつけるのも大事なことです。
おしまいに
さて、いかがでしたでしょうか。RGBとCMYKの違いは簡単には解消できない問題ですが、技術が進んだことにより、ある程度までクリアできるようになっているのが現状です。
しかしながらコストと手間はそれなりに必要なのも事実。業務として行っているのであれば、まずは印刷会社に相談し、費用と効果のなかでベストな落としどころを見つけていくのが現実的でしょう。
また、今回は紹介できませんでしたが、アプリケーションソフト上で色味を向上させるテクニックもあります。機会があれば、そちらもぜひ紹介したいと思いますのでご期待ください。
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