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ゲームの副資材とは? 〜ゲームの一部だけれどゲームじゃないもの〜

※今回のnoteは2019年2月5日に公開した「キュービスト ブログ」の内容を掲載しています。時系列・表現などは掲載当時の内容です。

ややこしい記事のタイトルですが、皆さんはそもそも“副資材”という言葉の定義をご存知でしょうか?

製造業などでは、“副資材”とは、製品化の工程に必要とされるが、製品にはならないものを指します。これに対して“主資材”という言葉があり、こちらは変質・変形・結合されて製品となるものを指します。たとえば自動車のオモチャがあるとして、各パーツを構成する金属部品が主資材、それに着色するための塗料や、組み合わせるための接着剤が副資材というわけです。

ただし、実はこの定義は業界や企業によってかなり曖昧で、特に副資材という言葉はたいへん幅があるのが実情です。

そこでゲーム業界の副資材ですが、実は上で説明した副資材とはまったく意味合いが異なっています。今回はゲーム業界ならではの副資材について、当社で実際に副資材制作を担当しているディレクターに話を聞いてみました。


Q. まず、ゲーム業界の副資材とはどのようなものをいうのでしょうか?

A. ショップでパッケージ販売しているゲームソフトの場合、副資材とは、パッケージ販売されるゲームの外装やレーベルデザイン、封入するチラシといった、商品を形成するために必要な印刷物のことを指しています。商品を梱包するための箱や初回限定版などで専用の箱がつく場合は、それらもみな副資材と呼んでいます。

ちなみに業界の統一ルールがあるわけではなく、プラットフォームをもつ企業のルールに合わせて対応しています。たとえばソニー系はゲームの外装のことを化粧紙と呼びますが、任天堂系ではタイトルシートと呼びます。

●プラットフォームとは?
アプリケーションが動作する環境のこと。コンピュータ本体やOS、ゲームであればハードの種類がこれに当たります。Nintendo SwitchのゲームソフトがPlayStation 4で遊べないのはプラットフォームが異なるからです。
Q. 具体的にゲームの副資材にはどのようなものがありますか?
A. 上でも少し触れましたが、化粧紙またはタイトルシート、化粧箱、操作シート、レーベル(ラベル)、特典チラシ、特典ステッカー、搬入用の内箱、外箱などがあります。ゲームによってはそれ以外にも作る物があります。

Q. 今と昔で副資材に変化がありましたか?

A. そこまで昔の話ではないですが、そもそも機種ごとに制作するものが決まっており、ニンテンドー3DS、Wii、Wii Uは、タイトルシート、操作シート、ラベル、内箱、外箱の5点セットが必須でした。

ただ、Nintendo Switchに移行してからは、タイトルシート、ラベルの2点のみ必須で、操作シートは任意となっています。

PlayStation 4については、化粧紙、レーベルは必須ですが、操作シートは任意となっています(操作シートを入れない場合は、化粧紙の中面にお問い合わせ先や規定の文言が入る形で対応します)。

Q. 最近の特徴みたいなところはありますか?

A. 初回生産限定特典や早期購入特典といった特典物が付属することが多いので、コードを印字する特典チラシや、パッケージに貼付する特典シールの制作は大変多いです。

また、操作シートについてはメーカーやタイトルによりけりですが、制作は減ってきている印象があります。

その代わりに公式サイトにゲームの仕様などを紹介しているケースが多くなっています。

Q. 副資材はどのぐらいの期間で制作するのですか?

A. 案件によってまちまちですが、平均すると受注してから入稿までがおおよそ1カ月半くらいです。

発売日の2カ月〜1カ月半前くらいには刷り上がった印刷物を工場に納品します。その後、アセンブリ→出荷→店頭に並ぶという流れになっていきます。

●アセンブリとは?
もともとは「一つのものを何かと合わせる」という意味で、この場合はゲームソフト本体や副資材などを製品としてひとつにパッケージングする行程をいいます。

Q. ゲームがまだ完成していない段階から制作すると思いますが?

A. 基本的には完成品がなくても問題ありません。メーカー様から資料をいただく場合もありますし、開発途中のゲームを実際にプレイすることもあります。ほかにも公式サイトやティザーサイト、パブ資料などを参考にします。

ダウンロードコンテンツの情報などは、この時点でほぼ資料がないことが多く、メーカー様から直接取材して作成することもあります。

●ティザーサイトとは
公式サイトの前に立ち上げるユーザーへの予告用サイトです。情報を定期的に小出しにして、期待感をもってもらうためのものです。
●パブ資料とは
ゲームの概要(ストーリーや登場人物、売りになるゲーム内の要素など)が書かれたプロモーション用の資料です。タイトルシートまたは化粧紙作成時に必要になります。

Q. 制作にあたってどのような注意をしていますか?

A. 副資材にはメーカー様から配布されたテンプレートがあり、そのルールに沿って作成を行います。

その中でも特に規定部分に当たる箇所(ゲームのスペックや権利表記、タイトル名、バーコードや品番など)は、間違った情報を記載してしまうと、メーカー様やユーザーの方に多大なご迷惑をかけてしまうため、細心の注意を払って作業を行います。

また、パッケージの表4側(裏面)には自由にデザインを入れられるスペースがあります。基本的にはキャッチコピー、テキスト、グラフィック要素などで構成しますが、ゲームの一番目玉になりそうな要素が目立つように心がけつつ、登場キャラクターや写真でレイアウトしていきます。

Q. これだけは絶対に心掛けているというようなルールなどはありますか?

A. 前の質問でお答えしたように、規定部分に当たる部分は間違うと大変なことになるため、チェックリストを使って複数人でチェックするのが必須です。
バーコードやQRコードが掲載されているものは、バーコードリーダーやQRコードリーダーを使って、きちんと読み込むかどうかのチェックを必ず行います。

あとは内容が確定して入稿データをメーカー様に提出もしくは印刷所に入稿する前に、必ず2人で読み合わせを行い、誤字・脱字や表示崩れなどがないかの最終チェックも行います。

Q. 今まで担当した中で、ちょっと珍しい副資材があったら教えてください

A. 自分が担当したなかでは、初回限定版の箱や特典の冊子などがあります。仕様(サイズや形状)、デザインなどはメーカー様より要望をいただいて決めていきました。

印刷まで当社で行う場合は印刷所とも仕様を詰めながら、こちらからメーカー様に提案することもあります。

操作シートは通常ですと、ペラ、二つ折り、中とじの冊子形式のどれかになることが多いのですが、メーカー様の要望によっては、三つ折り、ジャバラ折りといった特殊な折りの形式になることもあります。この場合は表示の上下、表裏に気を遣う必要が出てくるため、折り方を実際に試してみて、どこにどの情報を記載するのかを確認しながらレイアウトしていきます。

Q. 今までに一番苦労したことは?

A. やはりゲームの看板となる化粧紙・タイトルシートでしょうか。

そこに記載するキャッチコピーを考えるのは大変ですが、満足いくものができたときはクリエイター冥利に尽きます。

また、キャッチコピーの下に付随しているテキストは内容の盛り込み方とその表現の仕方で掲載する情報の雰囲気が左右されるため、意外に難しい部分です。がっちり嵌まったときは心の中でガッツポーズしています。

近年では当たり前のようにマルチハードでゲームソフトが販売されていますが、機種によって判型が異なる(パッケージのサイズが違う)ため、同じ掲載内容でもレイアウトを調整する必要があるのは地味に大変です。

横幅が広い誌面でレイアウトしていたものを、横幅が狭く、代わりに縦幅が高くなっている誌面で再レイアウトすると、場合によっては空間が空き気味になってしまうことも……。

逆もまたしかりで、縦幅が高い誌面でレイアウトしていたものを、縦幅が低く、横幅が広くなっている誌面で再レイアウトすると、要素がぎゅうぎゅうになってしまい、入りきらなくなってしまいます。

対処方法はそのときによってさまざまですが、空き気味のときは売りになる要素を追加したり、写真を大きめにしたり、増やしたり、詰まり気味のときは要素をまとめたり、重ね気味に配置したりして調整し、自然な見た目になるようにしています。

おしまいに


ゲームの副資材の世界、いかがでしたでしょうか。
ゲームには本体のゲームソフト以外にも、たくさんの制作物が存在します。ダウンロード版の販売も多くなってきた昨今ですが、たまにはパッケージ版でしか楽しめないゲームの副資材にも注目していただけると、制作会社として嬉しいかぎりです。

ゲームの副資材制作にお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

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