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わかりやすいライティングのコツ〜不定期連載(4)〜

「ライティングのコツ」も4回目です。今回は文章をより読みやすくする、さまざまなコツを紹介します。皆さんは普段、どの程度まで配慮しているでしょうか。

漢字は使いすぎない


わかりやすい文章を書くためには、そもそも難しい単語を無理に使わないことです。パソコンやスマートフォンで文章を書くと、ついつい変換候補のままに文字を打ってしまいがちですので、きちんと見直すことが必要です。

特に漢字の多い文章は、読みづらいだけでなく、堅苦しさが感じられます。読みづらい漢字はひらがなで表記し、ストレスなく読める文章を書くことを意識しましょう。

ちなみに漢字にすることを「閉じる」、ひらがなにすることを「開く」といいます。

絶対ではありませんが、それでも慣習上、こういう場合は開く・閉じるという目安があります。非常に多岐にわたりますので、詳しくは別の機会に説明するとして、ここでは一例を紹介しておきましょう。

●漢字の閉じ開き

接続詞は開く……………しかし(然し)、ただし(但し)、なお(尚)、または(又は)
副詞は開く………………あらかじめ(予め)、さらに(更に)、ぜひ(是非)、ときどき(時々)
形式名詞は開く…………〜すること(事)、〜したとき(時)
実質名詞は閉じる………事によると(ことによると)、時と場合(ときと場合)、
補助動詞は開く…………してください(して下さい)、お願いいたします(お願い致します)
複合動詞は開く…………食べはじめる(食べ始める)、走りつづける(走り続ける)
当て字は開く……………ございます(御座います)、できる(出来る)

専門用語を使いすぎない


IT関係やビジネス用語は次から次へと英語をもとにした新語が登場し、そのままカタカナで表記することが多くなります。定着していない言葉をそのまま使うと、知らない人は調べる手間がかかるうえ、ストレスにもなりますので、できるだけ避けるべきです。

使うときは、まず読者層を考慮し、そのうえで使うかどうかを判断しましょう。想定する読者層に伝わりにくそうであれば、文中で説明したり、( )で和訳を入れるなどして、意味を補足するといいでしょう。

同じ言葉、表現を多用しない


ここからは、文章に書きなれない人にありがちな失敗を例にとり、注意点を見ていきましょう。まずは同じ言葉や言い回しを繰り返して使う場合です。

【修正前】
当社は1995年の創業の会社です。当社の社員は90名です。当社の本社は東京都文京区です。主な業務内容はゲームの開発補助やゲームのマーケティングのサポートです。

すべての文章が「〜です」で終わっていますし、いちいち主部に「当社」を使い、「ゲームの〜」も繰り返しているので全体的にくどくなっています。一文一意を意識しすぎた結果でしょうが、これでは読み手に稚拙な印象を与えてしまいます。

【修正後】
当社は1995年創業。東京都文京区に本社を置く、社員90名の会社です。主な業務内容は、ゲームに関する開発補助やマーケティングサポートです。

関連する文章が続くので「当社」を省き、文章をあえてまとめたり、表現や語尾を少し変えてみたのが、上の文章です。修正前と修正後の違いが理解できるでしょうか。一文が短いときは、特に同じ言葉や言い回しが目立ってしまいますので、文意を損ねないレベルで、「省いたり」、「別の言い回しを使う」ことが重要になります。

同じ意味の言葉を繰り返さない(重複表現)


前項の「同じ言葉、表現を多用しない」と似ていますが、こちらは同じ意味の言葉を繰り返してしまう場合です(重複表現といいます)。

たとえば「馬から落馬する」という文章は典型的な重複表現です。「落馬」という語句から馬に乗っていることが明白なので、「馬から」という部分はまったく不要になるわけです。

会話では流れで使ってしまうことはよくありますが、文章で使ってしまうとかなりのイメージダウンになるので注意してください。下にいくつか例を挙げておきましょう。

【誤り/修正】
後で後悔する/後悔する、後で悔やむ
一番最初に/最初に
今の現状/いま、現状
違和感を感じる/違和感を覚える
過半数を超える/過半数に達する
受注を受ける/受注する、注文を受ける

「表記ゆれ」に注意


「表記ゆれ」とは、意味が同じなのに異なる表記が文章中に混在することをいいます。「文章のゆらぎ」ということもあります。日本語でよく見られる表記ゆれとして、漢字の送り仮名に関するものがあります。

たとえば、電気製品などを買うとついてくる「取扱説明書」。
この「取扱」は「取り扱い」、「取扱い」というふうに書くことができます。それぞれの表記はすべて正しいのですが、これらを統一しておかないと、文章が読みづらくなるだけでなく、「表記が違うのは、なにか意味があるのだろうか?」と、読む側が混乱することにもなります。

ほかにも以下のような例があるので、日頃からよく使う語句についてルールを決めておいたり、パソコンのユーザー辞書や単語登録で間違いなく変換できるようにするのがおすすめです。

送り仮名:取扱/取扱い/取り扱い
漢字・ひらがな・カタカナ:犬/いぬ/イヌ
数字:月/一月
全角と半角:COMPUTERE/COMPUTER/コンピュータ/コンピュータ
略語:パーソナルコンピュータ/パソコン/PC
音引き(―)や中黒(・):コンピューター/コンピュータ/リモートワーク/リモート・ワーク

曖昧な(断定を避ける)表現を多用しない


「曖昧な表現」とは、「〜と思う」、「〜ではないでしょうか」、「〜かもしれない」といった断定を避ける表現です。これは自分の文章に自身が持てない、責任を取りたくない、反論されたくないという気持ちの表れでもあり、どうしても主張が弱く見えてしまいます。

下の例文を見てください。

【修正前】
ゲーム依存症を防ぐという目的で、子どものゲーム時間を条例で定めた県があるそうです。しかし、ゲーム依存が社会問題になっているようにも思えませんし、子どもにとってゲームは知的好奇心や創造性を育む側面もあると思います
そもそも子どもの時間の使い方は、本人や保護者が自身で決められるものではないでしょうか。その自由を制限する条例は、憲法違反と言っていいかもしれません

【修正後】
ゲーム依存症を防ぐという目的で、子どものゲーム時間を条例で定めた県があります。しかし、ゲーム依存が社会問題になっている事実はありませんし、子どもにとってゲームは知的好奇心や創造性を育む側面もあります
そもそも子どもの時間の使い方は、本人や保護者が自身で決められるものです。その自由を制限する条例は、明らかに憲法違反です

太字の部分が修正したところですが、この修正によって、文章の強さもかなり変わりました。すべてを断定する必要はありませんが、一番伝えたい部分だけでも断定形にすることで、文章に説得力が生まれます。

最後に


「ライティングのコツ」の4回目、いかがでしたでしょうか。次回はいよいよ最終回(予定)。文章そのものではなく、文章全体をわかりやすくするためのテクニックをお届けする予定です。どうぞご期待ください。

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